2016.08.07相続財産、分割できないときは?・・・代償分割とは
”母がなくなり、わたしと妹で遺産分割をすることに。でも相続財産は母とわたしが住んでいた土地と家屋がほとんどなんです。この後、わたしは引き続きこの自宅に住み続けたいのですが、妹との共有にするのは抵抗があって・・・”
ご相続が発生し、遺産分割をされる際に、
・ ご相続財産の価額を大部分をひとつの土地が占める
・ ご相続財産のうち、自社株式など被相続人の事業を承継する相続人が相続すべき財産がほとんど
といった場合、単純に「分割しましょう」というわけにはいかないケースが多く存在します。
こういった場合、よく使われる遺産分割の手法に「代償分割」があります。
ここでは、「代償分割」の内容や注意点についてご紹介していきます。
そもそも、遺産分割の方法は3種類
ご相続が発生し、相続財産の方法には、以下の3つの方法があります。
①現物分割:
最もシンプルな分割方法で、実際にはほとんどのケースがこの分割方法です。
「自宅の土地・家屋は長男が、株式など金融資産は次男が」という形で
それぞれの財産についてその取得者を決定し、分割する方法です。
②代償分割:
特定の相続人が相続財産の全部又は大部分を取得し、
その相続人から他の相続人に対して金銭等の資産を交付する方法です。
「相続財産の全部を長男が取得、その代わりに長男が金銭を次男に渡す」といったケースです。
③換価分割:
相続財産を売却し換金化、その売却代金を相続人の間で分割する方法です。
代償分割しようとしても代償金が支払えない、といったケースで用いられます。
「代償分割」が行われた場合、相続税はどう計算するのか?
代償分割が行われた場合、相続税の課税価格は、以下のように計算します。
(1)代償財産を交付した人
相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額から交付した代償財産の価額を控除した金額
(2)代償財産を交付を受けた人
相続又は遺贈により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額の合計額
例えば、相続人Aが、相続により土地4000万円(時価は5000万円)を取得する代わりに、相続人Bに代償金2000万円を払った場合、それぞれの相続人の課税価格は、
(1)相続人A 取得した土地4000万円 - 払った代償金2000万円 = 2000万円
(2)相続人B 受け取った代償金2000万円
となります。
※この代償金の金額が、土地の時価(5000万円)を基に計算された場合は、計算方法は異なります。
詳しくは、国税庁HPをご覧ください。
「代償分割」の注意点①:まず大切なのは、代償金が支払えるかどうか
では、「代償分割」を行うにあたって、どのようなことに注意するべきなのでしょうか。
まず一番重要なのは、代償金が支払えるかどうか です。
代償金を支払う相続人は、そもそもの相続税の支払いと代償金の支払の両方が必要となってきます。
負担が大きくなるケースがほとんであるため、「支払えるかどうか」をきちんと計算しましょう。
「代償分割」の注意点②:遺産分割協議書にきちんと記載しましょう。
また、「代償分割」で他の相続人に金銭等を交付する場合には、遺産分割協議書にその旨をきちんと記載しておきましょう。
「取得した相続財産の代償として、相続人Aは相続人Bに金○○○万円を支払う」という文言を加えておくことで、代償金の交付が単純な贈与とみられて課税されることを避けることができます。
「代償分割」の注意点③:代償財産が、土地や株式などの現物である場合は、ご注意を。
代償金の交付は、現金の交付で行われることがほとんどですが、まれに、
土地や株式などの現物を代償財産とされることがあります。
この場合、遺産の代償分割により負担した債務を履行するための資産の移転となりますので、
その代償分割を行った時の時価で資産を譲渡したことになり、譲渡利益が発生している場合は、
譲渡所得税が課されてしまいます。
一方、代償財産として資産を取得した人について、その履行があった時の時価により
その資産を取得したこととなります。
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