2016.09.16生前対策 : 遺言作成 よくあるQ&A (2)
前回のコラムに続き、「遺言作成よくあるQ&A」をご紹介します。
年賀状や暑中見舞いは毎年書くことはあっても、「遺言」は一生にそうそう書く機会があるものでは
ありません。
いったい、何からどうすれば?と思われるお客様がほとんどです。
実際のケースでお客様から頂いたご質問を、順に沿ってご紹介していきたいと思います。
1.遺言内容を決める
一部の財産の相続についてのみ記載する遺言書も書けるの?
可能です。遺言ですべての財産の処分内容を記載しなければならないわけではありません。
賃貸収益物件などの不動産や会社の自社株を承継者に承継させていきたいので、その財産についての遺言書を書いておく、というケースもあります。
ただし、遺言に記載されなかった財産については、相続が発生した後に、相続人の皆様の遺産分割協議が必要となります。
”一部の財産の処分だけ遺言で決まっていたために、他の財産の遺産分割協議で相続人がもめてしまった・・・”ということがないように、相続人の皆さまへの配慮が必要かもしれません。
「遺留分」って何?
遺言を作成するにあたって注意が必要となるのが、「遺留分」の問題です。
「遺留分」とは、民法で定められた一定範囲の相続人に一定の相続財産の相続分の割合です。
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民法1028条(遺留分の帰属及びその割合)
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
- 一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
- 二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一
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つまり、相続人の方に配偶者かお子様がいらっしゃる場合は、法定相続分の2分の1、ご両親などの直系尊属のみの場合は法定相続分の3分の1が、相続人の遺留分となります。
また、兄弟姉妹には遺留分はありません。
財産の相続で遺留分を侵害(遺留分よりも少ない財産相続となった)相続人は、他の相続人に対して、遺留分の減殺請求(遺留分よりも少ない額を取り戻す請求)をすることができます。
遺留分を侵害している遺言だから無効となるわけではありませんが、相続発生後に相続人の皆様で遺留分の減殺請求をした・受けたというようなことが起こらないようにしたいものです。
そのため、遺言内容を決められるにあたっては、この「遺留分」を侵害していないかどうかの配慮が必要です。
その他、遺言内容を決めるにあたって考えることは?
実際に相続が発生された場合の相続税の試算もあわせて行われるといいでしょう。
小規模宅地の特例など、誰が相続するかによって特例が受けられる・受けられないが決まるものが
あります。
相続税を減らすことを目的として遺言内容を決めるのは本末転倒かもしれませんが、
受けられる特例を理解し、踏まえたうえで、遺言内容を決めていくことをおすすめします。
2.遺言書を作成する
今回のコラムはここまでです。
次は、遺言書の作成について。
公正証書遺言の作成で、よくあるQ&Aをご紹介したいと思います。
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